
今年最初の作業は、バルブの再組み付けでした。
いつものように4本をセットして
バルブエンドをハンマーで叩きました。
それから筆と油性の速乾ニス、そしてシリコンオフを、エルシノ庵から持ち出してきました。
勝負開始〜!すべては結果オーライ!
まずシリンダヘッドの燃焼室側の面を脱脂しました。それから例の虫食い部分があるあたりを重点的に狙い定めてペタペタとニスを塗ってから、ガスケットの片面にも同様に、そのニスを塗ってしばらくそのまま乾燥させてみました。
本来ですと、シリンダ側にダボがありますから、それにガスケットをハメてヘッドを載せるという順序で組みますが、今回はガスケットとヘッドを先に貼り合わせてしまってから、シリンダブロックにのっけるという手順でいきたいと思います。
新品のシリンダヘッドガスケットは、そのどれもがたいてい湾曲していますから、まずは面の接着をより強くさせる必要があるように思いましたので、貼ってから重しをしておきました。
一時間ほどそのまま放置したあと、今度はガスケットの反対の面にブルーハイロマを指先で薄く伸ばしていきました。そしてヘッドはついにシリンダブロックの上に、久しぶりに鎮座することになりました。
9本のボルトのうち、いつもならプッシュロッドが収まっている穴の奥にある1本にだけ、緩み止めを塗って組みますが、今回はロッカーケースを載せたら、もう締め付けることができない5本全部に塗りつけてみました。それから合計9本のボルトにジワリジワリとトルクをかけていきます。キャブレターとエキゾーストパイプをセットしたあと、例の鉄則によってこの状態で一晩は放置すること、を守るため、組立て作業中のエンジンにビニル袋を何重にも掛けてから、最後に車体カバーを掛けることにしました。
物理的な作業時間が無くなったぶん、イケるところまで出たところ勝負だ、という作業のやりかたは慎むように心がけるのが2003年スタイル。
車検の費用が準備できる頃までに仕上げれば良いのだ、というスタンスで少しづつ進めていこうと思います。
次の作業工程の手順を考えるのにあたって、ロッカーケースの中を見ると、ロッカーアームを定位置に軽く押し込んでいるスプリングのうちの1本がダメになっているのを見つけました。具体的にどうダメなのかという点ではうまい表現を見つけることはできませんが、要するにひちゃげて変形していました。貰い物ストックパーツからそのスプリングを探し出して、変形したスプリングと入れ替えることにしました。
それから、タペットアジャスタのネジ山が、過大な締め付けトルクで伸びてしまうということはにわかに信じがたいのですが、4本のうちの1つだけが少しだけ回り具合が渋くなっていましたので、これも貰い物ストックパーツと交換することにしました。いっそのこと、もう一回クリーンアップしてしまおうということで、ロッカーケースに収まっている部品をぜんぶバラバラにしてしまいました。
ずいぶん偉そうなことを言い切ってしまいますが、おっかなびっくりで作業を行いながら問題点を洗い出して、その度にアタマを抱えたり先輩たちの知恵をお借りしていた以前とは違って、このW3-Aに関しては何の作業にどれくらい時間が必要になるのか、概ね見当が付きます。また工具の準備や材料の調達についても、同じことが言えるでしょう。
ある日の帰宅時に、電車のなかで、ぼんやりと考えていました。
わたしはいつも、シリンダヘッドとロッカーケースの間から僅かに滲むことがあるエンジンオイルについて悩んでいました。その根本的な対策として考えられるのは、シリンダヘッドからバルブガイドを抜き取って、それから合わせ面を平滑に磨くことだろうとは思うのです。ですが、きちんとバルブガイドを自分で元に戻す自信は無いですし、機械屋さんに頼む工賃も持っていないので、今回も例によって見送りにしました。
それではいったいどうするか。
簡単なことです。いつもの純正品、青いガスケットよりも幾分厚みのあるものを使えば、うまくやりすごすことができるのではないかと考えました。ガスケットは作るものである、という基本に立ち帰ろうということです。それは別に純正品の品質が悪い、と言っているわけではありません。個人的には、外周部が広めに余るように切っていることが、確かに気に入らない点ではあるのですが。
貰い物W1Sヘッドがどのくらい歪んでいるのか、その具合もバルブガイドを抜かない以上、はっきりとわかりません。
「ちょっと厚めの紙パッキンで対応してみたら塩梅が良いのと違うかな。」
昨年、家じゅうの大掃除をしたときに、南海部品グループの発行するポイントカードが、何枚か出てきました。
普段は、あまり意識することなく、なんとなくスタンプしてもらっているのですが、ぜんぶを累積すると、1,000円分の商品券として使うことができるみたいでした。塵も積もれば、ってやつです。
まだまだ趣味にお金を使う段階ではないと思っているわたしにとって、これはラッキーでした。
最初の休日に、1枚が800円のガスケットシートと、お正月お年玉バーゲンコーナーと赤い文字でポップが書かれたコーナーから、プライス200円と値札が付いたパーツクリーナをひとつ持って、わたしはレジに並びました。そして断腸の思いで、消費税分の50円を財布から持ち出しました。
ロッカーケースは、ロッカーアームを押すスプリングを交換するつもりで、ばらばらにしてありました。ガスケットの型取り作業をするのには、好都合です。
銀行やら保険会社やらの粗品で配られた印鑑ケースを何個か集めてきました。もちろん貰ったまま使用されることがないので新品です。それらの印鑑ケースには、たいてい朱肉がセットされてあります。その朱肉をケースから強引にほじり出して、ロッカーケースの合わせ面に塗ります。そしてガスケットシートに、ぺタと押し付けると、切り抜くべきかたちが、シート上に出現します。
排気側には、左右対称になる小さめのガスケットが2個必要です。吸気用では、プッシュロッドを通すために、おおきな穴が明いているガスケットが1個必要となっています。
次に訪れた休日の朝、まずわたしはコーヒーを淹れながらパソコンを立ち上げました。それからおもむろにロッカーケースを持ち出してきて、合わせ面に明いてある3つの穴のうち、排気側の穴ひとつだけに朱肉を塗り付けました。そしてガスケットシートの隅っこに押し付けてから、彫刻刀の平刃をノミのように持って、外周を大まかに切り出しておきました。
今度は、吸気側です。
まずはスタンプしました。それからガスケットを切り出してしまうと不要になってしまう内側に、先程の排気用ガスケットを重ね合わせて、収まる位置を探しました。予想していたとおり、不要部分で排気用ガスケットを1枚作ることができそうです。
吸気側ガスケットは、内側を先に切り出しました。こちらは最初から本番仕様ということで、丁寧に不要部分を抜き取りました。その吸気ガスケットとしては不要の部位と、すでにカットしてある排気用のものとを重ね合わせてから、排気用として不要になる部位を、ステープラーで何箇所か仮止めしました。わざと荒くカットしてある外周部でも、あとで切り落とすつもりの部位に狙いを定めて、同じように仮止めしました。
ボルトが通る穴を開けるのにも、ポンチがあれば簡単に作業できるのでしょうが、わざわざ買うまでのこともないかと、丸刃で穴を作りました。必要な箇所に穴を開けて済ませてから、2つ重ねた排気用、大きな穴のある吸気用、つごう3枚の自作ガスケットが出来上がりです。
その翌日も、休日でした。
クリーンアップが終わって再び元通りに組みつけられたロッカーアームに輪ゴムを架け、新しく自作した3枚のガスケットには通称「トヨタ・ブラック」液体パッキンをうすく塗り伸ばしました。
W3の車体に掛けてあったカバーを全部外して、そのガスケットを所定の位置に置きます。それから魔法の杖、4本のプッシュロッドを差し込んで、治具を使ってロッカーケースを取り付けました。
まるでマギー司郎師匠の手品みたいに、大阪の寝屋川界隈と名古屋の熱田のあたりでは局地的にウケた、わたしの完全オリジナルギャグ、プッシュロッドでブロロロロ〜♪の解説をしてみようかと思います。
それは昨年、新宿在住の若者にあらためて説明を請われる、ということがあったのと、その説明を終えたときにかぶりをふって呆れられたことに起因します。
わたしが小学生の高学年だったころのことです。
わたしは混沌の中にいました。今の年齢になって、記憶を時系列順に並べることはもはや不可能です。それにいろいろ間違っていることもあると思いますが、記憶のリレーションシップを引きずりだしてみます。
錯綜する少年期のカオス。
これがプッシュロッドでブロロロロ〜の起源。
プッシュロッドでブロロロロ作業は、ロッカーケース頭頂部に差す全てのボルトと専用治具を巧みに使って行います。
その治具は以前に、約2mmのアルミ板を切って削って作りました。
4本のプッシュロッド全てがロッカーアームの窪みにきちんと収まっているかどうかは、キックペダルを踏んでみるとすぐにわかります。小さな可愛らしい魔法の杖は、クランクが2周するまでの間に、それぞれが一度だけ上に押しあがり、やがて下がります。その押した動きでロッカーアームが動いて、バルブを操作するのですが、4つのロッカーアームが動くことを目視で確認すると、プッシュロッドでブロロロロが完了した、ということをわたしのなかでは意味します。
この時点でロッカーケースは、その厚みのぶんだけズレた位置にあることになります。一度軽く締めたボルトを少しだけ緩めて、そして頭頂部の2本を抜いてやって、ロッカーケースとシリンダヘッドの間から治具を抜く作業に移りました。
いつもそうしている通り、タペットアジャスタのクリアランスは0.07mmに合わせておきました。それからキックスタータを何度も何度も踏みつけて、T字のオイルパイプの端からエンジンオイルが噴き出すまで繰り返しました。
クランクには、その動きに合わせて動作するオイルポンプがあって、クランクが回るとオイルラインに潤滑油を勢いよく送り込む仕組みになっています。ユニオンボルトでT字パイプとロッカーアームシャフトを連結してからも、何度かキックスタータを蹴りました。排気側にあるタペットアジャスト用の穴から内部を覗いて、その内部のオイル溜まりにしっかりと潤滑油がやってきていることを確認してから、カバーを閉じました。
スパークプラグを取り付け、ついにエンジンに火を入れることにしました。予定では、そのときに発生する熱で速乾ニスが膨張してくれるはずです。
「うまく焦げついて、腐蝕しているところをぴったりとシールしてくれよな、頼むぜ。」わたしは、メインスイッチをオンにしました。
気分が高揚してきました。
が、ここで思い出したのです。
このフュエルタンクにはレギュラーガソリンが詰まっているのでした。W1Sのシリンダヘッドを積んでしまった以上、いちおうはハイオクを焚いてやらないといけないような気がしました。
へなへなへな・・・急に萎えてしまいました。我が家にはハイオクのストックなんてあるわけがなくて、今日もエンジンは動作しませんでしたとさ。
頭ごなしに笑われても
うぬぼれて踊ってりゃEのさ
大丈夫さうまくいくさすべてはAll Right / RC SUCCESSION
続く