わたしがとりわけ早起きしたというわけでもないのですが、妻も娘もまだ寝ています。そこで、先週命名したばかりのダブル軍団格納庫、つまり−洗濯モノ干し場− に行ってみました。わたしはその場所に居て、休日の朝の過ごし方の新しいパターンを見つけたような気がしました。そして、おもむろにW3の清掃を開始しました。
まずは、前後リムにCRC5-56をスプレーしたあとで、真鍮ブラシでゴシゴシ擦ってみました。(注:この方法を、いきなり実行するのがイイとは限りませんのでご注意ください。)
前オーナーの『I原さん』によると、このW3-Aを寝かす際には、ほとんどのメッキ部分に『CRC5-56』をタレるくらい拭きつけておいたということですが、そのCRC5-56が時間の経過に伴って、ホコリとともに汚れの層を形成していましたので、わたしはまず「油汚れは油で落とすという方法」を実行しました。
おおっ ピカピカです〜。これが10年近く眠っていた車なのか!という感嘆を止めることはできませんでした。メッキの輝きについては、ウチのW1S-Aの現状と比べて、遜色ありません。やっぱし、このニッポンが いけいけどんどん高度成長時代〜にあったころのメッキは 強いしキレイです。下地に銅メッキを施してからクロームメッキをしてあるので、てろっとした厚みがありますよね〜。ですが残念なことにこの技法は、近年の公害問題で使われなくなってきました。なんでも銅メッキの廃液が環境に及ぼす影響が大きいのだそうです。しかたないことですよね・・・・・
最後に、油分をカーシャンプーで洗い落としてから、カルナバWAXで、表面の仕上げをしました。こうしてひとまず前後のリムは、脱皮しました。キレイです。でもスポークは錆び錆びです。
自分でサビを落とす・・・・こんな些細な作業でしたが、今日からダブワン個人レストアラーの仲間入りです。こんなことは、もちろん言うたモン勝ちです。
ところでわたしは、W3のパーツリストをまだ持っていません。まあ そんなものを持っていたところで、メーカーからの部品供給なんてあんまりアテにならないことをW1S-Aでの経験から知ってましたので、あんまり意味ないよなあ と考えております。ただ、「W1S-A用のパーツリスト」と「K2・W1・W1S用のサービスマニュアル(SM-3)」は持っていますので、その二つと 「W1ファイル」を駆使するならば、これからやろうとするレストレーション作業は なんとかなるだろう、なんて軽くタカをくくっていました。
あれは忘れもしない3日前のことです。出勤の直前にふとW3を見たとき、プラグキャップ&コードが欠品していることに気付きました。そしてその先に存在しているはずの「IGコイル」は、ちゃんと存在しているのだろうか・・・? そんな不安に襲われました。
たまたまのことだったのですが、出社時刻までは、まだ少し時間の余裕がありましたので平日の朝っぱらから、チェック作業を開始・・・・・・
「無い!!」
シート裏にあるはずのIGコイルが無い!やばいやばい。これはまずいです。問題点を嘆きつつ出社してからも、この件がすっかり気がかりで、仕事が手につきません。
聞くところによると、Wにばっちり適合するIGコイルは、現在国内には無いらしくて、輸入待ちなのだそうです・・・(註:当時のことですが)。これは影でIGコイル相場を操り、世界征服をたくらんで暗躍する悪漢が存在しているのではないか・・・
そんなことを考えていると、ホントに仕事になりませんでしたとさ。
深夜(正確には翌日早朝)になりました。ようやく帰宅してすぐ、インターネットダブルワン塾長「風俗刑事」さんに メールで質問を投げてみました。
「あのですね。黒い筒がですね。無いんですけど・・・」
早速届いた回答には
「W1S-AとW3とでは、場所がちがーう!サイドカバーをはずしたバッテリーの裏にあるのだー!」
おお!そうだったのかー。正直言って、すぐにでも確認したい衝動にかられました。ただ、午前2時の洗濯モノ干し場でおもむろに作業を始めるっていうわけにもいきません。隣りにお住まいの老夫婦に心配をかけてはいけません。
布団に入るも、ろくに眠れないまま、朝になるのを待つのも待ち遠しくて夜明け5時過ぎにドキドキ気分で、おそるおそるチェックしたのです。
ありましたー IGコイルは、所定の場所にちゃんとありました〜。
VWビートルでボンネットを開けて「エンジンが無い!」って言った人とほぼ同じ状態にわたしは陥っていたわけです。W1S-Aでは、ライダーのお尻の下あたりの場所に横向きでIGコイルがマウントされているわけなのですが、W3では縦にマウントされる構造なのでした。
いくらプラグキャップとコードが欠損していたとはいえ、IGコイルの存在を見失うとは・・・。
W3-Aおそるべし!
わたしは、教条主義のおそろしさを痛切に感じました。こうなりますと、やっぱしパーツリストが必要です。あれさえ熟読していたならば、こんな不安に陥ることはなかったのでしょうが・・・・。
次の休日。キャブレターの具合を見るために、ごそごと作業を開始しました。片岡風に書くと 「カービュレターを念入りにチェックする」となりますが、もちろんそんなことはどうだっていいです。
おそるおそる、全部を分解しました。どっひゃぁ〜!!内部には、スラッジもガムも滞留していない! 段ツキ磨耗も見受けられない!すごい〜!
どうやら、うちのW1S-Aのキャブをはじめてバラしたときの状態よりも はるかに内部の具合は良ろしいようです。がしか〜し、落とし穴がひとつ。左側キャブのバンジョーボルト(バンジョーを組みつけるユニオンボルトが正式名か)が付いていないことを発見しました!
また、蔵に確認に行かないといけませんね。ふう。
いちおうそこいらの構成部品は洗浄して再組付けしてしまいました。ついでに、ガソリンホース類は全部硬化していたので新品に交換しました。汎用品のプラグキャップとコードもパーツ屋で調達してきました。本日の作業はここまでです。
ずいぶん簡単に実走行に 近づきつつあるのだ〜! (ほんまかいな)
今日は、バッテリーをW1S-Aから拝借して、電装関係をチェックしてみました。こうした消耗パーツに互換性があることで、財布のダメージが少ないのはありがたいことです。なにせライダーはヒトリなんですから。
さて、各インジケータランプ類ですが、まったく点灯しませんでした。電装は全部要チェックですね。 やれやれ
まあそれもそのはずでして、ヘッドライトの中の配線は、残念ながらグチャグチャでした。
続いてちょっと真面目に、少しだけ洗車してみました。
10年前から眠っているままのエンジンですが、さあ動きますやらどうやら
右プラグキャップの上あたりに「T字型の部品」があります。これはオイルラインなのですが、どうやらオイル漏れの形跡はみられないようです!シリンダヘッドとロッカーケース、それからシリンダブロックの間からも、オイル漏れの形跡はありません
タンクを取り外してみました。そろそろ気合が入ってきました。
連日にわたって、残業&休日出勤ばかり・・・ なのですが
今週作業したこと
冷静になって気づいたこと
嬉しかったこと
おいおい、現在納車待ちのW650の立場はどうなる。まあイイ傾向ではあるのですが・・・・丁寧に乗って、いつか娘にやろうと思いますW650。
こうして会社から定刻で帰宅することができた最後の日って、いつだったのかなあ・・・・そんなことをぼんやり考えていました。
それから5時30分の終業チャイムを確認したわたしは、会社を飛び出しました。
W3-Aの前に到着できたのは、5時36分でした。わたしの職場は、ウチからかなり近所なのです。
W1クレイジーズさんからわけてもらった『W3-Aの配線図のカラーコピー』を頼りに、テスターで各部分の導通チェックすること5分。ここでようやく動力系の電気回路には、異常が無いことを確認しました。われながら ずいぶん冷静になって作業をすすめているものです。
さてここで、我がW1S-Aの出番となります。
「許してくれ。今日もちょっとだけ、バッテリーを貸しておくれよ。」
プラグをシリンダヘッドから取りはずし、外したプラグには再びキャップをはめ込みました。そして、プラグをシリンダあたりに接地させた状態をとって、キックスターターを手で動かします。
「シュココ パチッ!!」
よーしよし OK〜!
まずは、プラグのスパークを確認しました。点火系は、生きていました〜。
すっかりノリノリのわたしは、つぎの行動に移りました。
「おお我がW1S-Aよ!許してくれ。こんどは、ちょっとだけフュエルタンクを貸してくれー。」
むむむ、左キャブレターのフュエルバンジョーボルトのねじ込みが 予想したとおりやっぱり甘いようです。すこしヤバい感じ・・・・・。純正品の鉄製ユニオンボルトは、メス穴に食い込んでいきません。当然ながらパッキンが有効になる程の締め付けトルクは、稼げそうにないようです。
このまま、仮に組んでみました。それからフュエルタップをオンにすると・・・・ジョジョジョーのジョー!
やっぱり漏れてくるなあ〜。ぜんぜんダメですわ。
この問題はクレージーズさん製作の「漏れ対策真鍮ボルト」に交換することで解消しようと思います。そして今日のところは、さっきの行為で、少しくらいはガソリンがフロート室に送り込まれただろう、と決めつけて、フュエルタップのコックをオフにしました。
キック一発目
「ぐっすん」
おおおお、これは聞き覚えがある!W1Eの調子がイイときの音だー。
二発目
「ぐぐすん」
「おーい。なんしょんじゃー」
モモちゃん(ゴールデンリトリバー)と散歩中の「しんえもんさん」が乱入してきました。
「Wは燃えるけん、逃げとくわ〜」
状況を把握するなり、彼らはすぐ、自宅に向かって帰って行きました。
三発四発と わたしがキックの鬼に変身しているところで、妻と娘が買い物から帰ってきました。
「とーちゃん ぶるるん しよーる」
娘が近寄ってきました。
「いーやぁ ぶるるんしたら ええのぉゆうて やりょんじゃ〜。」
さて、妻と娘のふたりが見守るなかでのキック14回目
「ぐぁるるるすすん」
きたきたきたー。ふっふっふ〜。
15回目
「どろんぶわーんぐろぐろ・・・」
始動しましたー。
「クサックサッ臭っさー」逃げる娘。
火がはいりましたよ650RS。かかりましたよW3-A。意外なくらいあっさりと、10年弱の眠りから目覚めちまいましたよ。
「へえノーマルのW3-Aってこんな音なんだー」
妻が言いました。わたしも同じことを感じていました。ビョエビョエーンという音色でしたから。
しかし、臭い!!。
長く放置していたせいでオイル下がりが起きていて、劣化したエンジンオイルが無鉛ハイオクガソリンといっしょに燃えているんだから、しかたないですけど。
「おおおお」
まさか、たかだか15回のキックでエンジンが始動するなんて思ってもいなかったのですが、それ以上に期待していなかった「スローがある」ことには、ただただ驚きましたよ。なんとアイドリングをしているんですから!
「たたき起こされてすぐのわりに なんと元気なんや〜」
寝ボケるわたし&目覚めが悪い妻、つまりわたしたち夫婦は、思わずこのW1Eに、このようなツッコミを入れておきました。
今すぐ試走したいという衝動は、ブレーキ整備が出来ていないので、ガマンしました。「復活後即死」は避けなければいけません。わたしは、名作「デビルマン」のワンシーン「化けて死んだ」を回想していました。
それから5回ブリップしました。そしてキーをオフにすると、辺りには静寂が戻りました。
うちのご近所さんにあっては、ウチのオートバイがうるさいことについて、もはや諦めてくださっているからOKでしょうが、まあ物事には限度ってもんがありますので、今日はこのくらいで勘弁しといたる〜。
ふと、The Doorsのフレーズを口にしているジブンに気付きました。
♪ カモンベビ ライトマイファイア〜
You know that it would be untrue
You know that I would be a liar
If I was to say to you
"Girl, we couldn't get much higher"
Come on baby, light my fire
Come on baby, light my fire
Try to set the night on fire
The time to hesitate is through
No time to wallow in the mire
Try now we can only lose
And our love become a funeral pyre
Come on baby,light my fire
Come on baby,light my fire
Try to set the night on fire
LIGHT MY FIRE / the doors