右側のケースのように、複雑なオイルラインを持たないこちら側は、至って簡単である。(とタカをくくっていただけだが)
灯油にドブ漬けしてから、使用済みハブラシでブラストメディアの残骸を掻き落とし、サークリップが収まる溝とエンジンマウントの穴を エアブローした。
あとは、クリップを付けてから外側からオイルシール内側にはクランクベアリングを叩き込むのみである。
おれは、クリップを組み付けようとしたそのとき、おれの目に入ったものは・・・・・、タイミングホールのキャップになるボルトであった。
そういえば、このボルトを取り外さないままで、おれはブラストを打っていたが、外さなかったのには、理由があった。
どういうわけか、本来は13のアタマがついているボルトに、ノコギリで入れたのであろうと思われるマイナス溝が切られてあったのだ。
ブサイク〜。あまりにも 汚らしいよ・・・・・。
ここはいずれにせよ、交換するつもりだったので、いつでも取り外して捨てることができるさと軽く考えていた。
がしかし、このボルトは かなり強いトルクで締め付けられていた。というより、本来のメス山を締めきってさらにその奥のクランクケース内壁を押すような格好で、強くツッパっていた。
おそらくは、かつてこのエンジンを整備?した人間が、Oリングを入れ忘れて組んだせいで、ここからオイルが漏れてしまったのだろう。漏れを嫌って更に締め付けた結果「緩まない点火時期チェック穴」が出来あがってしまったのであろう。
おれとしては、タイミングホールキャップのネジ山にもブラストメディアの残留があってはいけないという理由から、ここで分解しておきたかったのだが、13のメガネあるいはスパナは、ナメかけているこのボルトのアタマには、掛からなかった。
また、汚らしいマイナスの溝に貫通ドライバを当てて、ハンマーで叩くことも試みた。
が、おれひとりの作業では、チカラが逃げてしまってうまくいかない。妻は出かけているので応援を頼むこともできないし、バイスにケースをくわえさせての作業はあまりにも乱暴である。
「師匠先生ならこんな場合、どうしますかー?」
「また来たのか!いやまったくキミは ロクでもないものしか相談に来ないねぇ〜♪」
このようにツッコまれることは、当然覚悟の上だった。
師匠先生は、マイナスの汚い溝を更に大きくリュータで掘り込んで行った。
それから、精度が甘くて惜しげのない(本人談)12ボックスを、ハンマーで静かに静かに叩き込んでいった・・・・・ そしてボックスにT字のハンドルをセットするなら もはやトルクは逃げようが無い。
NGとなっているボルトナットを取り外すことについては、おれにもちょっとは自信があったのだが、これまた目からウロコが はらり と落ちるのが判った。
さあ 仕切り直しである。
もういっぺんキレイに洗浄して、エアブローした
サークリップを組んでから、オイルシールを叩き込む。それにあっては、やはり古いベアリングを使って作業した。
そして内側には、クランクベアリングを注意深く打ち込んでいく。
やがて打音が 硬いものに変化した。
どうやら定位置に落ち着いたようである。ささっとエアを吹いて、また黒い袋に仕舞った。