SM-3では、シックネスゲージを使って、ガタのチェックを実行しなさい という記載がある。そして規定外ならば、クランクは要交換となっている。
そんなことを言われたところで、もはや新品の入手は不可能に近いし、修理についても前述したように、シロウトでは不能である。
おれは恐々としながら、コンロッドをつまんだ。まだ クリーナ等を使って、油脂を除去する前の時点でのチェックである。
幸い、タテ方向のガタは 触診では0だった。
ヨコ方向については、右側のコンロッドのほうに僅かながらイヤな感触があった。
とは言うものの、以前にケインさんのW1E腰下分解に立ち会った際に感じたガタの量と良い勝負だと思った。ケインさん号が絶好調であるという現状を知るおれにとっては、たいした問題ではないことだと解釈することにした。
さて、分解編で既に記述しているが、W1Eのビッグエンド潤滑は、クランク軸のセンターにあるオイル経路に圧送されるオイルで行われる。
おれはまず、かつてW3のオイルラインを掃除したときの方法を、実行してみることにした。
シャフト中央のオイル孔に、キャブクリーナを大量に注入してみた。
2〜3分後に エアブローすると、ビッグエンド部からはさっきまでは透明だったはずのクリーナが、茶色の液体となってしたたり落ちてきた。
それからパーツクリーナにケミカルを変更して、エアブローを繰り返した。やがて浸出液が、ほぼ透明になった。シャフト孔の内部とビッグエンド摺動部の脱脂が、いちおう処理できたものとする。
この時点でコンロッドをつまんでみると、左右両方ともに、ヨコ方向のガタを感じた。油膜が存在するのとしないのとでは、こんなにも違うものなのかということを知るところとなった。
続いて、「ミゾツキネジ」を取り外して、遠心フィルタのスラッジ量を確認することになるが、その前に脱脂した格好のビッグエンド部にエンジンオイル(ホンダGP10-40)を注油しておくことにした。作業の待ち時間に、傷をつけたり錆びさせては、なんにもならないからだ。
マイナスの貫通ドライバを コジるように使って、クランクウエイト右側にある2個のミゾツキネジを取り外していく。
ミゾツキネジそのものは、クランクウエイトよりも柔らかい材質からできているようで、マイナスの溝がどんどん口を広げていく。それから、緩み止めにミゾツキネジとクランクウエイトとをポンチでカシめてあるので、ネジのピッチが狂っているせいもあって、余計に緩めにくい。
ヤキトリの串を用意した。
おれの興味は、ここまで作業したなかで、どのくらいのスラッジが残存しているかということに尽きた。
チェックしてみたところ、先程のケミカルが効いているのか、さほどの量ではないという印象を持った。
あくまでも、貰い物腰下と比較してだが。
ということは、腰下を分解しないままだがオーバーホールしたと常々おれが言い張っているW3にあっても、掃除は成功している・・・・と、思うことにした。
ともかくフィルタ部分に、それからタップ・ダイスを使ってオス・メスのネジ山を修正し、元通りの場所に戻そうと試みた。
が、しか〜し。2個のうちの1個は、あまりに「ミゾツキネジ」」の変形が著しいせいで、ダイスにうまく通すことができない。クランクに戻そうにも、実にネジがはいっていかない。しかたがないので、スペアのクランクからミゾツキネジを取り外してきて、それを使った。
ポンチでネジのアタマをカシめて、新品ウエスにくるんだ。
最後に、シャフトの中心にオイルを注いでは、エアを送るというのを、三度繰り返してから、黒いゴミ袋の口を閉じた。