分解 キャブレター

構造概論

( おおきなお世話だ〜)

抜栓してから楽しみに待ったワインでは いきなりそんなことをやらないだろうが、例えばラーメン屋のカウンタにいるとして 「ちりれんげ」ですくいあげたスープの味を確かめるとき またあるいはどうしていつもこんな温度で保温しているのか理解に苦しむファーストフードショップで出されるコーヒーの蓋を取り外したあとや そしてあるいは料理の味見をしているときなどで、われわれのほとんどは液体を口腔にススり込むといった作業を 行っている。

それは 単に熱い液体を摂取する際に すこしでも空気を含ませて温度を下げようとする無意識の行為なのかもしれない  ただそれは空気と共に分子を小さくさせ 気体化することでより口の中に拡散させ、味覚の刺激をより一層促すという行動でもある。そしてわれわれは 唇を使って吸い込むという動作でこの行為をする。つまり 負圧によって、れんげやらスチロールのカップにある液体を体内に摂取しているのだ。

エンジンのピストンが動作する際、吸気バルブが開きピストンが下がると排気ポート内部そしてそれに連結するキャブレターには負圧がかかることで、周辺の空気がその経路を通って勢い良く送り込まれることになる。

その空気の経路の中に 燃料を適宜供給するのがキャブレターである。れんげの中のラーメンスープはラーメン鉢から掬い取った量を上限として、啜り込まれていく。

啜り込む力が小さいときには、ティースプーン一杯分を摂取するのにも時間が必要だろう。また 強く啜るならば、れんげ どころかお玉杓子の一杯をあっというまに消費することも可能だろう。

「ススり込む力」とは 「エンジンからの連続して発生する負圧の量」と強引に置き換えることにするが、回転数が高いほど負圧量は大きくなる。

ラーメンスープを 一気に かつ大量にススりたいから吸う力を強くするのだ。そして その力が持続するあいだ、ティースプーン・レンゲ・お玉は一定の量のスープを掬い続けていく。

。もちろん これは抽象的な例であるキャブの中にはそうした匙は実装されてはいない。この役割を果たすのが 小さいサイズから大きい順にパイロットジェット ニードルジェットメインジェットと呼ばれる極細の穴が開けられてある筒状部品であって、この穴を通って燃料は吸い上げられていく。

匙の使い分けを説明するにあたって、もうひとつ重要なことがある。W1で使われているVM形式のキャブレター内部には、空気のための経路が2系統存在している。

その内の大きいほうの経路は 一般に「ベンチュリ」と呼ばれ、キャブの中でも最も大きな円柱状の部品「スロットルバルブ」が、平時には空気の流れをほとんど遮るような格好で 鎮座してある。スロットルバルブは、アクセル操作によるワイヤの動きで上下するが、これでベンチュリを通過する空気の流入量をほぼ決定している。

もうひとつの経路は 極細の空気孔である。アイドリング時などの低回転つまりアクセルが全閉している状況ではパイロットジェットから吸い上げた燃料とこの穴から流入してきた空気とベンチュリとスロットルバルブの間に僅かにある隙間を通る空気とで混合気を作り、エンジンに供給していく格好になっている。

前述した スロットルバルブは 円柱状なのだが、底面は僅かながら斜めに切り落とされている。これを カッタウエイと表現する。

またスロットルバルブの中央にはジェットニードルと呼ばれる、先に向けてテーパー状に細くなっている針がサークリップで固定されている。

アクセルが操作され、開度が 1/8〜1/4程度になると、スロットルバルブのカッタウェイ下を通過する空気の量が増えてくる。空気流入量に 燃料の量を同調させるのが、スロットルバルブ中央に固定されたままテーパー状の穴「ニードルジェット」に挿し込まれてあるジェットニードルである。普段は それぞれがテーパー状になっていることで、燃料の流れを妨げている格好になっている「ニードルジェット」・「ジェットニードル」だが、スロットルバルブの位置が上方向に変化しようとしているときには燃料を流すように開かれていく。また同様に スロットルバルブが下がるつまりアクセルが閉じられると、再び燃料の流れは遮断されていく。アクセル開度が 1/2を超えると既にジェットニードルの作用効果は無くなり、ニードルジェットの底部に取り付けられたメインジェットが燃料吸い上げの役割を担うようになる。また スロットルバルブで妨げられ気味だった空気の流入も、大きく開口されたボアを通過するようになり、それはアクセル前回に至るまで同じである。

大量の混合気をエンジンに送り込むとエンジンの回転は上昇するし、アクセルを閉じると混合気が少量に絞られることで回転が下がるのは、こうした一連の所産なのだ。

今度は、注がれるスープが ラーメン鉢からは決して溢れることのない仕組みについて説明したい。

がしかし、適当な例が見つからなかった。そこで そのまんまのキライはあるが、自宅でオフイスでまたは出先で、水洗式トイレの水タンクの中をご覧いただきたいと思うそしてついでに操作してみて欲しいと思う。

。水タンクの上蓋をあけると おそらくは球状で中空の樹脂で作られた物体が存在している。その球には おそらく金属製の棒が差し込まれてあって、棒の一方は水道栓に接続されてあるはずだ。

その水道栓は ちょうど 昔ながらのラムネ瓶にしこまれたビー玉の役割をする。開栓したビンを逆さまにしても、中の液体は流出しないというアレである。

水タンクの中の球状の部品は タンク内部の水位が一定である間、ビー玉を動かして栓をしているのだだから、水を使用した後には 再び水位が定位置になるまでの間水道栓(ラムネのビー玉)を開放している格好にある。定位置を判断制御するのは、その樹脂で作られた「浮き」の水面に対する位置なのだ。

キャブレターの中にも、これとまったく同じ役割をするものがある。フュエルタンクから接続されているパイプの他端にはバルブが組み込まれてあって、頭の形は三角錘状になっている。この三角錐の頂点が押し込まれるとき、多くのキャブレターではその底面にあるフロート室に 燃料が注ぎこまれる。このバルブのことをフロートバルブと呼び、頂点を押し込むための浮子についてはそのままであるがフロートと呼ばれる部品である。

水洗便所の水タンクの中に浮かぶ球状の部品を上方向からムリに押してみよう。すると、今度こそタンクから水が溢れてこぼれる寸前のところに、水のバイパスがあってギリギリのところで別の場所に流すという、外部には漏れ出さないバイパスが存在しているはずだ。当然キャブにも この機構は存在している。

このようにして、寸胴鍋からラーメン鉢に溢れない程度に注がれるスープを食したい量と それに応じたサイズの匙で連続して摂取するのがキャブレターの役割なのである。

アマル社コンセントリック・三国VMシリーズそして現代では 京浜FCRなどが、上記のような構造になっている(さすがにFCRはワイヤで直接スロットルバルブを引かないが)。

EJをはじめとする 近代〜現代の量産型中大排気量4ストオートバイにポピュラーなCV式については、いつの日かEJをOHするコラムを書くときがきたなら紹介してみたいと考えている。 ◇ その前に もうちょっと乗ってやれよな〜<わし

W1S・W1S−Aに使われた三国VM26にあって、エンジン始動専用機構に関する特記事項があと2点ある。

燃料の中に浮かんでいるフロートを、外部から無理矢理押し下げて強引なオーバーフロー状態にする「ティクラー」 冷間時には これの作用によって生ガスをエンジンに流し込むことで濃い混合気を発生させる。もうヒトツは、「チョーク機構」。スロットルバルブの中央には ジェットニードルが仕込まれてあるが、それを避けるような入れ子状態になっているバルブがもうひとつ存在している。スターターレバーを操作すると、ベンチュリとスロットルバルブとの僅かな隙間を更に小さくさせる「チョークバルブ」がスロットルバルブから出てくる。空気の流入量がさらに抑えこまれることで、混合気のガソリン比率はいっそう濃くなっていく。この2点の特徴について、W3用のVM26では廃止されている。 チョークは現代のものと 同じ構造である。

□□ 概論の解説 □□

キャブレターの説明で ベルヌーイの定理に頼らない文系論陣を張るのにはすげぇ苦労しましたが、先日妻が作った 火から降ろしたばかりのカレーをお玉から直接テイスティングした瞬間に コレだ!と 思いました。さあ 電装系も このような日常の「ありふれた生活系」で説明できるかどうかが思いやられます。しばらくキャブのテキスト作るのイヤでしたもんね・・・とほほほほ

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