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すこしだけ素人、すこしだけ玄人

Sep 21,2009

シルクロード1号のタンクには、右側に大きなヘコミがあります。誰が悪いっていえばわたしが悪いのですが、かなり前に「コケて憂鬱」でネタにしたとおりで、ある雨の日に転倒しましてボッコリとやってしまっていたのです。ヘコミの周囲の塗装にはヒビ割れができていて緑色の下地が露出しています。その緑色ってのはポリパテじゃないかと思います。シルクロードを購入する際に元々あったタンクのヘコミは、バイク屋さんが板金に出してから納車しますと約束してくれましたが、たぶんそのときの修理痕なのでしょう。叩き出しなんぞは殆どやらずに、たっぷりとポリパテをなすり付けて整形したからこのようになっているのだろうと思います。幸いなことにタンクの内部はキレイです。ヘコミさえ気にしなければ、じゅうぶん使用に耐えることのできるものです。でもヘコミは気になります。

一方、シルクロード2号のタンクですが、オリジナルの塗装が見事な経年変化をしていて味わい深いことには間違いないのですが内側には少し錆があります。つまりヘコんでいないことだけが救いという代物でして、1号タンクをヘコまして以来不本意ながら外付け式燃料フィルタをカマして使ってきました。このタンクはいずれ花咲爺処理したのちに保存することにします。

それでは1号のタンクを修理してみることにします。まずヘコミを取りましょう。 師匠先生に習ったやり方で、燃料の注ぎ口から鉄棒を差し込んで、グリグリしてみました。が、うまくいきません。わたしのやりかたが悪いのか何か特別なコツがあるのか、とにかくラチが明きません。

「お助け」

「うっふっふ。山本五十六だよ、アイリーくん(仮名)」

うわ。師匠先生の手によって、みるみるうちにヘコミが消えていきます。なるほどその工具はそう使うのか、とプロフェッショナルな技に感動したりなんかしちゃったりして。ぐりぐり、ぼっこん。ぐい、ぱっこん。かんかん、こんこん。がぎがぎ、ぎぎぎぎ。

ポリパテの層をヤスリで削り落としているのを見ていると、おおよその平滑が出ているkとに気付きました。

「あとはジブンでやれ」

「あとはジブンでやります」

「次からはジブンでやれ」

「はい頑張ります」

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、誉めてやらねば、人は動かじ。(山本五十六)っちゅうことでごじゃるよ〜♪エエものを見せて貰いましたよ、うふふ。


かつて板金屋で補修された際に、タンクのデカールは正しい位置から少しズレた位置に貼りつけられていました。HONDAマークも田圃マークも、それぞれすこしヘンでした。今回の手入れでは、そうした気に入らない箇所も修正したいものですから、その間違いのデカールはドライヤで温めてから全部剥がしました。それからサフェーサと600番の耐水ペーパー、マスキングテープとゴミ袋などを使って、地道な始末を開始します。何度も何度も繰り返して表面をならしていきます。パテはポリ系はおろかラッカー系も使わないことにしました。

素人の妥協点は低いものです。つまり作業に飽きる時期と表面がキレイになったと感じるのはだいたい同じタイミングになるというものです。それからわたしは、師匠先生が昔、別のシルクロードの修理をやったときに多くの犠牲を払って調べたという近似色を教わって、ホルツの缶スプレーを調達してきました。

今回は部分塗装です。うまくいくかどうか不安ですが、少しずつスプレーして色を乗せていきます。不安といえば、耐ガソリン性も気がかりです。

一週間ほど置いて、コンパウンドで磨きこんでみました。元の塗装との境目は、プロが見たら笑い出すような代物なのかもしれませんが、そこはジブンの素人塗装、ひとり笑って、ま、こんなもんかな、とそれなりの仕上げに満足することにしました。

タンクのデカールが、まだメーカーから出るのかどうか、それは知りません。知りませんが、今回はあくまでもわたしの趣味の世界ってことで自作してみようと思いました。当初はカッティングシートを使おうかと考えて、ローランド社のステカで利用できるデータを作ろうとしました。ベジエ曲線つまりアドビ・イラストレータでセコセコと仕込んでいくかたちです。

一気に作ろうとしても疲れるので、時間のあるときに少しずつ進めた作業でした。


データが概ね整ったので文具屋に出かけることにしました。各色のカッティングシートを調達です。その時に店に置いてあることに気付いたのがインクジェットプリンタ対応のステッカー自作シート。あれれ、このほうが手っ取り早いかも知れません。なにしろシートの色のことを考えなくてもよいのですから。そりゃ耐光性は低いのでしょうが、色が抜けたりしたところで、また作り直して貼ってやれば良いのですから。

それならば、とタンクとサイドカバーに貼るステッカーには、洒落を振りかけてみることにしました。どういうわけか、シルクロード2号のサイドカバーには、デカールが剥がされていたので、こういうときはかえって好都合です。2号のサイドカバーを使い、1号のオリジナルデカールのものは2号のタンクと共に温存することにします。


シルクロードの模様といえばアラベスクが思い浮かびます。忍冬唐草模様というやつです。金茶部分、つまり田圃マークの地にアラベスクを這わせます。オリジナルの色がプリンタで上手く表現できる筈はないのですから、こうした変化球で目を逸らしたいところです。EPS形式のフリー素材をWEBから拾ってきまして、デザインを少し修正したり色を検討して仕上げてみました。それからHONDAマークはウイングマークに、車名ロゴは形式名に変えてみます。洒落です。シャレシャレ。CR72の赤いタンクがキレイに映っている資料と、CB250RSのサイドカバーのロゴをスキャンして、適当かつ地道に作ってみました。機械が吐き出す単なるデータですけど、わたしとしてはそれなりに価値のあるものになったとは思っています。


ある日、所用で師匠先生のお宅に立ち寄った時のことです。

「あと30分早く来てくれてたら、助かってたのに」と師匠先生は地団駄を踏みながら仰るので、お話をうかがってみたところ、先日から作りこんでいたトライアンフ・カブのエンジン(タコメータ取り出し付き)を、フレームに載せる作業が、たった今終わったばかりだ、しかも独力で、ということでした。

なんとも可愛らしく仕上がりつつあるそのオートバイですが、現状だとフュエルタンクの状態があまり良くなくて、外側も内側も細工が必要なのだそうです。外は銅色のメタリックでフレークがキラキラしていますが、塗膜に蜘蛛の巣状態のクラックが縦横に走っていました。その上に虎の絵がデザインされたデカールが、左右に一頭ずつ前を向いて貼られてあります。

「タンクは再塗装するとして、問題はこの虎なのよ。左向きの虎のステッカーは手に入れたのがあるんだけど、少しサイズが小さいし、それに右向きのは持っていないし」

「お任せください。納期は10日ほど下さい」

シルクロード用に調達したステッカー用紙は、A4版が4枚入っていました。シルクロードで3枚使いましたので、1枚在庫が残っています。それを長期保管するよりも、こうした機会に使うほうが賢明だと思います。

フォトショップを起動して、虎の絵をスキャンしたりサイズを指定の大きさに伸ばしたり色の荒れを修正したりしました。それから鏡面反転させた複製を、ちちんぷいぷいと出現させればデータは出来上がりです。これに2010とかの文字を添えるなら、来年用の年賀状データも出来上がりです。

短距離ライダーの憂鬱・失笑編。すこしだけ素人、すこしだけ玄人 終了

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