
前の記事を書いた日付が二年前だということに眩暈を覚えながら、新しい章に突入したいと思います。題して「短距離ライダーの憂鬱〜爽快編」の始まり始まり〜♪
ビルゲイツさんが創設した会社の人たちだったら「仕様です」と主張するような現象を、ホンダ・シルクロードCT250S('81)はいくつも抱えています。もちろん諸元表には記載されていない情報です。オーナーだったら大抵把握していることなのですが一応書き出しておきます。
生産後四半世紀も経ってこんなことを言われても、メーカーとしてはたまったもんじゃないでしょうけど、列記した「仕様」は、その文言を「欠陥」と言い換えてなんら差し支えないとわたしは思っております。ですがそうした欠陥だらけのシルクロードが、今となっては、いとおしくてたまりません。なにしろウチのシルクロードにあっては、いろいろな手だてを講じてそれらの欠陥を乗り越える対策を打ってきているのですから。
このコラムではそうした一連の対策を、爽やかに書き連ねてみたいと思う次第です。無論爽快なのはわたしだけでしょう。だって自慢話なのですから。
シルクロードはセルスターターが弱いと言われますが、いつの日かセル関連部品の寿命が訪れて完全に壊れてしまったとしても、キックスターターがあるならそれでエンジンを始動することができるわけです。そうなったらしめたもので、押しガケのことを考えなくてもよくなります。作業そのものは、互換のあるエンジンから部品をスワップするだけです。でもキックスターターの実装はそれほど容易いことではありませんでした。
それからエンジン腰上あたりからオイル漏れを起こしやすいと言われます。これにしても原因は構造上の欠陥だし、それが仕様だと言い切られてしまえばしかたないことなんですけど、まるで時限爆弾を抱えながら地雷原を歩いているようなもので、対策するのにもちょっと苦労しました。
セルの不具合が解消しないことで維持をあきらめた人が多くいると聞きます。いくら修理しても止まらないオイル漏れがイヤになって手放すことに決めた人も大勢だと聞きます。でも滑りだしたセルが絶対に修理不可能だなんてことはないとわたしは思います。オイル漏れだって同様です。メーカーが推奨する方法では不具合を解消することはできないかもしれませんけど、別の手を入れてやることさえできれば、ほとんどのシルクロードが復活できるんじゃないかという気がします。
直せないなんて、デマです。
容易くない、とか苦労した、とか書いていますとおり、基本的にはジブンで考えてジブンでやりました。コストの面が最大の理由でそうするしかなかったわけですが、玄人っぽいでしょ。この道に踏み込むにあたって、わたしにはスーパーブレインでありスーぺリア・メカニックであるところの「師匠先生」がスーパーバイザーとしてバックアップしてくださるので、これほどココロ強いことはちょっとありません。そしていろいろやってみたら、やっているうちにいろんなことが見えてくればいいな、と。仲間が出てきたらイイな、と。同じようなことで悩んでいる人にとって道標になることができればいいな、と思ったりなんかしているうち、ついにヒトツの完成形を見たわけなのです。
だからこうしてドキュメントを残すことも必然というか当然の流れだと思います。わたしの天命を知ってしまった、みたいな。
願以此功徳 普及於一切 我等知玄人 皆共行絹道
いろいろ含んで覚悟のうえで踏み込んで行った「願以此功徳 普及於一切 我等知玄人 皆共行絹道(長いな)」では、何度も遭難しましたし、道にも迷いました。彷徨うことになった原因は、「勘違いによる自家中毒現象」が最大だったように思います。さまざまな現象をミスリードした末に取った行動のせいで、師匠先生には大変なご労力を割いていただくことにもなってしまいました。ここでそっとおわびしておきます(なんじゃそりゃ)
あ、それから、この道「願以此功徳 普及於一切 我等知玄人 皆共行絹道(長いな)」は、以下今後では「以知玄人道」と略記することにします。長すぎますからね。
さまざまな思い込みを持ったままでシルクロードのエンジンをモディファイしようと思ったのが2005年頃でした。さっそく流用できる中古部品を探そうとしたとき、XL250Sのジャンクエンジンをいきなり見つけてしまったのと、それが\2,500-で手に入ることが分かったのですが、これは神からのお導きだ、とばかりすぐにそれを手配しました。
今振り返ると、これがわたしとシルクロードとの獣道「以知玄人道」の入り口を踏んだ瞬間だったってことがわかるのです。それがどんな道かと申しますと、SLレバーを握ってスーパーローにシフトして、しっかりグリップを確認しながらゆっくりと走らなければならないような道です。スーパーローなら最大30度の登坂能力を発揮するそうですから、以知玄人道の相当の難所にまでも対応できるかも知れません。坂にグリップさせ続けることができる腕前、つまりモチベーションが維持できれば、のハナシですが。
ボクの前に道は無い、なんてことはないケド ボクのあとに太い道はできた、のです。確実に。(「道程」をそのまま引用できるほど傲慢ではありません)でも面白い、面白かったのです。ウエブ上に情報を見つけることが出来なかったからそうだと判断するのは些か早計かもしれませんが、誰もまだ踏み込んでいない道に分け入る経験ができたのですから。
その道をわたしは折り返しました。一台分のモディファイが完成しました。もう一基のエンジンのために再び入口に立つわけですが、ここで一度振り返ることにして道を憶えているうちに地図を書いておきます。望む人にとっては「宝の地図」になるのでしょう。「既に実行済みだぞ」と仰るかたには笑っていただいてなんら差し支えありません。
さて、せっかく手に入れたXL250Sエンジンですが、現物を前にしてその仕様をいろいろ調べていくにつれて、シルクロードに流用するのには問題が多いことが分かりました。その問題点は、憂鬱編に記しましたので、ここでは割愛することにしますが、その後にさまざまな問題を解消するには兄弟車CB250RSがどうしても必要だ、と思い込みました。当時のわたしの精神状態を振り返ると、膨張期にあったようです。妻の視線を感じつつもわたしにしか輝かない宝物を手に入れることに罪悪感はありませんでした。つまりゴミ屋敷を粛々と構築していたわけです。
2009年の現在は収斂期に向かっているみたいなので、モノを増やす、ということにものすごい抵抗感があります。これ以上はもう、今生にあって収拾がつかなくなるってことに気付いてしまいましたから。そりゃあ耐用限界を超えたオイルシールとか特殊な形状のパッキンなど消耗部品なんかは、交換するのに手配はしますけど、現在納屋に置かれている部品が再びオートバイの姿になったり、再利用できる部品の姿になったり、どうしようもないものはリサイクルに出したり、とかの整理整頓が完了するそのときまで、その大小は問わず新規の部品を手に入れるのは止そうと思っているところです。
こうしてわたしの以知玄人道は、二台のシルクロードとXL250Sのジャンクエンジン、そしてCB250RS部品取車というラインナップで踏み込んでいきました。
結果論でしかありませんが、ミスリードだらけの道中でした。でもわたしは以知玄人道の男ライン、しかもほぼド真ん中を通ってきました。自分で構築した道ですから、その真ん中を通ることができるのは当然なのですけどね。
こうした3つのミスリードがなければ違う景色だったのだろうと思います。
踏み込んでも踏み込んでも以知玄人道
(先日雑誌で拝見した川柳で「着替えても着替えてもユニクロ」ってのには腹筋が攣ったよ)
シルク乗りのデマ 終了