後から考えてもやはり、そのときのわたしはどうかしていたんだろうと思った。オートバイの操縦にあって、特に低速域での取り回しにはちょっと自信があるほうなのだが、不覚にも、その低速旋回で転倒してしまった。
雨の日の昼休みのことだった。わたしは急いでいた。突如、左足首に激痛が走った。それは痛風の発症ではなかった。
どうやら、溝のフタ(網目状/金属製)に前輪を持っていかれるような格好になったようだ。わたしは 鋭角な左折の事前準備のため、やや左に傾けつつ右方向の安全確認をしていたはずだった。そして、停止線の3メートル前あたりで、 滑ったなと感じる間もなく転んでいた。
レインスーツのおかげなのだろうか、怪我はせいぜい左足首を捻挫した程度で済んだようだった。どうにか引き起こして、無事な右足でギアを4速にかきあげた。それから、クラッチレバーを握りしめてセルフスターターをオンにした。
エンジンには すぐ火が入った。こういう時には、ミッションレンジがワイドで車体が軽量なオートバイは便利だ。急発進ができないのが不便なことを除けば、アクセルとクラッチをうまく操るだけで、なんとか走らせることができる。
わたしはスクーターは持っていないのでしばらくの通勤は この4速ホールドスタイルになるのだろう。左足の鈍痛に耐えながら、食事を済ませたあとで病院に向かった。
診察によると、全治にはしばらく通わないといけないことになりそうだ。
これで、今月もW3パーツの購入資金が途絶えてしまった。仕事を終えて自宅に戻ると、わたしのメインPCもクラッシュしていることに気付いた。わたしは途方に暮れた。今日はなんという一日だったのだろう。
翌朝、少し腫れの治まりかけた足をひきずりながら、いつもの物干し格納庫に行った。わたしは愕然とした。昨日はまったく気付いていなかったのだが、フュエルタンクの右側に凹みができている。ニーグリップは普段から励行しているが、こんな状態になるまで締め込んでいたんだろうか?ああ右膝に擦過傷がある。たぶん膝蹴りをくらわせてしまったのだろう。今回は左に転んだのだから、右にはダメージが無い筈だと思っていたので、余計にショックは大きい。
他にも、左前のウインカレンズが地面にいくらか削られて異形の断面を見せているのと、その影響で、ヘッドライトステーが少し歪んでいるようだ。
走ることについては支障がないだろうが、やはり修理してやりたい。
実はウチのシルクロードが、中古車として店頭にあったとき、タンク右前に凹みがあった。納車の際に板金塗装をサービスしてもらったが、調色は完璧だけどHONDAロゴがオリジナルよりも少し下にずれた位置で仕上がってきたのだった。サービスだったし多少のことでもあったので、あまり気にしないようにしてきた。
実際、シルクに乗っていて別のシルクに接近遭遇することは、ダブワンのそれよりも機会は少ないだろうから、「あなたのシルクのタンクマークはヘンですね」などと言われる恐れは、まず無いだろうと考えてきた。(ただ、ウチの町に、わたしのほかにもう3台存在しているのをわたしは知っている。)
ところが、最近の週刊少年マガジンで連載されている「ヘナちょこ大作戦Z」に登場するパンダのキャラ「プンプイ」と、ウチのタンクのイメージが被っていることに気づいた。これではカッチョ悪い。やっぱりなんとかしてやりたい。
そんなことを考え始めると、居ても立ってもいられない。まず当座をしのぐのに、ドナーシルクのタンクを利用することにした。ドナー車体には燃料フィルタが装着されていたから簡単に想像できたことだが、やはり内部には少々錆が見受けられた。
凹んでしまったタンクは 例によって自分で修理してみようか。ついに、先日 師匠先生から伝授していただいたばかりの板金修理方法を実行してみようか・・・。もっとも気分はブルーなのだが。
うまく叩き出せたとしても、シルクの色は、缶スプレーにはまず存在していないだろう。これまた いつものとおりにキャンディとかマジョーラになるのだろうか・・・
どうせ塗装するのならば、フェンダーもサイドカバーも同色に仕上げたいものだ。コストを考えると、タンクの塗装をプロに任せたほうが安上がりな気もしてくるし悩むところであるが、これも青春なのである。(←意味不明)
青春とは、人生のある期間ではなく、心の持ち方を言うのだ。
しかし、短距離ライダーは憂鬱なのである。 (続く)