恐ろしい。また増えてしまう。
「また増えるの?」
尋ねる妻の表情が恐ろしい。
「うん。」
気のない返事をするわたし。
「実動の書類付き部品取り車なのさ・・・」
かねてからドナーを探していたのは事実だが、まさかシルクロードのことまでこうしてサイトのネタとしてシリーズ化するとは、決して思っていなかった。
今回のドナー提供者は、「誰のオートバイ」でお馴染みの「I原さん」。
昨年のゴールデンウイークの頃、わたしに「彼のオートバイ」W3-Aを授けてくださった方でもある。
話は、去年の夏に溯る。
レストレーションを始めたW3-Aに再び火が入ったことの報告と、書類が手元に届いたことのお礼の電話をしたときのことだった。
I原さん」さんも、通勤の足としてオートバイを使うかたなので、通勤ライダー同士、ちょっとしたさまざまな悩みを共有することが多いのものだが
「いやぁ〜。年とったら楽なのんが 欲しくなっちゃってね〜。」 (実際の年齢は ご自身が言うほど、年配ではない)
このテの悩みは、たしかにわからなくでもない。スクリーンやレッグシールドについては、特に雨の日・風の強い日には、その存在がとても嬉しいものだろう。I原さんはいろいろ考えた結果、「ヤマハ マジェスティ」通勤に切り替えることにしたらしい。
「I原さん」さんが仰るには、
「多少のお金に換えたみたところで、どこの誰だかわからない人のために不調爆弾を抱えたままのシルクロードが存在し続けることが耐えられない。よって、君に贈呈しよう。君の部品取りとして、使ってやっておくれ。」
ということだった。
たしかに、さまざまな個所において経年変化による不都合が見られる車両ではあるが、チョイとディテーリング&OHしてからメータ戻しをしたら、レストア車20万なんてことになるのかも知れない。もちろんそんなことをわたしがするわけがないと判断していただいたのだろう。
このシルクロード、その不都合を書き連ねると
また新しく登場人物が増える。「I原さん」の古くからの友人「Fさん」も、昔からシルクロード乗りだった。ある日走行していたら、突如エンジンから火を噴いて炎上したそうで、廃車となる。ちょうどそのころ「I原さん」のシルクは、外装パーツの盗難に遭った。つまり、炎上エンジンは廃棄されて、外装なしシルクのエンジンが搭載されたCT250ということになる。
うーん。シルクロードとは、人間関係だけで生き長らえているんだなあ。
ひとつの事が完結しないうちに、またひとつそしてさらにもうひとつを始めてしまうのには、些かの抵抗があることは否定できないが、この件がプライオリティの面では一番なのかも知れない。なにしろ、毎日の通勤に使っているのだ。あと25年は確実に動いてくれないことには、日々の生活に支障がでるのだ。
めぐちゃん ごめん。うちのんも、あと25年くらい通勤に使おうと思ったら、この車体は必要なんだよ。相変わらず度量の狭い男である。
心をオニにして、パーツ剥ぎ取りに入った。(続く)