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=どこからでもツッコミは届く=

Jun 12,2002

無職生活も、3週目に突入しました。

自分では、そのうち昼と夜が逆転したり、一日中ぼんやりとテレビを見ては呑んだくれる生活をするようになるかも、などという予想をしていましたが、今のところそうした傾向は無いようです。

どうやら、いざ家事というものに真剣勝負を挑んでみると、一日が始まったなあと思っていたら、あっという間に夜が来て、そして眠くなってしまうことになるようです。

明確に家のことをサボルあるいは放棄するという意志が無いと、用事を片づけるために外をうろつく時間すら作ることができないのかな、と思いましたが、まあ「時間をやりくりする」ことも、クラッチワイヤの遊びのように必要なことでしょう。でも遊びがありすぎでも、あんまりよろしくはないようですね。

そんなある日わたしはTB2に乗って、市の社会保険事務所に出かけました。片道15キロの遠出です。こんな距離をひとりで家から離れるのは、ずいぶん久しぶりのことでした。

一般にお医者さんに診てもらうのに、みなさんは健康保険証なるものをお持ちになることだと思いますが、わたし名義の保険証は、現在この世に存在しておりません。それは会社を辞めるときに返却してきたから無いわけなんですが、このままの状態だと、国民の義務を果たしていないばかりか、自分が病気になったとき保険が利かないことでエライことになります。そこで保険証の申請をするために、わたしは家事を数時間放棄してしまう必要があったのでした。

国民健康保険に加入するならどのくらいの金額が必要になるのか、ということについては当コラムの第一章で書きましたが、その掛け金がずいぶん高いのには驚きました。もちろんこれは単に納付総額をシミュレートするためにデータを収集したかったので、市役所の窓口で聞いてみただけだったのですが、わたしの場合限りなく4万円に近い金額を毎月納付してくださいと言われました。もちろん国民年金は別で納付する必要があります。

うえ〜。そんなにはよ〜払いません〜。っていうか、みんなホンマにそんな大金を毎月納めているの?という疑念が沸き上がってきました。このフリーターだらけのニッポンてえ国は、なんともおそろしいところですね。

しかしそうなってきますと、一般に会社員の方だったらご存じでしょうし、そうするのが一般に普通だと思われる方法の「社会保険の任意継続」なるものを申請する必要がでてきました。

と、まあそういうわけで、今日は社会保険局に出向いてその手続きをする予定でした。

わたしはその窓口にすわっているおばさんに促されて、彼女とはカウンタ越しに据えられている丸椅子に腰かけました。

まず制度について説明します、と言いながらわたしの前にリーフレットが示されました。

毎月10日までに、2万なにがし円を、納付書に従って納めていただきます。それから(1)会社に就職する (2)死亡 の際には自動的に失効します。この任意継続というのは2年間を上限にしたもので、一度手続きを取ると上に書いた理由以外では中途で辞めることができないルールになっております。それから、途中で国民健康保険に入りたいなどの理由で脱退することはできません・・・

へっ?

おばさんの言っていることがまったく理解できません。

将来の選択肢のひとつに「自営の個人商店」というものを持っているわたしが、加入した後で自営の道を選んでしまった場合、いったいどうしろというのでしょうか??

その窓口でのやりとりを細かく書いてもしょうがないので割愛しますが、その納付義務を怠ると自動的に「任意継続保険」の権利が消滅してしまうらしいことは、わかりました。ただ、そうしたイリーガルな方法をとることは、わたしの性格上、好むところではありません。

「ちょっと考えて出直して来ますワ」

おばさんにそう伝えると、あなたの場合申請するのに残された期限はあと3日間ですよ、と言われました。
そうでした。たしか申請は20日以内にするようにと、なんかそんなことを前職の総務にいたおばちゃんが言うてましたわ。

え〜っと、毎月2万数千円を納付しつづけるということは、70万円オーバーですか。それだけの金額を払い続ける余裕なんてありませんよ。それにもしかして、2年が過ぎてしまっても、どこかの会社に就職しているかどうかわかりませんしね。だいたい、そんな金があったらダブワンだったら3台くらい買うことが・・・・痛てててて

ああ弱ったなあ。明後日はバセドー病の定期検診の日なのに、保険証を持っていないなんて・・・・・・そんな感じで困惑しながらも、数日ぶりに家事から解放されたヨロコビにあふれていたわたしは、とりあえずTB2を社会保険局の駐車場に放置しておいて、そこから歩いて10分の場所にある、個人的にお気に入りの蕎麦屋に出向いてみました。
こんなまっ昼間から町をふらふらしていることに少々の羞恥心を持ちましたが、やがてこれも消えていくことになるのかな、などと思いながら蕎麦がきと蒸籠をペロリとたいらげてから自宅に戻ってみました。

それからずいぶんといろいろ考えてみましたが、わたしなりの最適な方法はやっぱりコレだよな!という方針をその夜に決定しました。

ちょうどその翌日には、社会保険事務所からなにかの封書が届いていました。昨日のやりとりを思い出すと、けったくそ悪いもんで封も切らないままで机の上に放り投げました。四月中旬とは思えないほどくそ暑い朝でした。

昨晩にしっかり考えたことを実行しようということで、わたしはリンゴのフレイバーがよく利かせてある紅茶に氷を浮かべたグラスを用意してから、おもむろに電話をかけることにしました。

その電話は、妻の職場の労務関係を担当なさる方に繋がりました。

健康保険について考えたことというのは、つまりわたしは妻の扶養にはいるってことにしたのです。

そりゃ確かに任意継続だったら医療費の自己負担は2割で済みます。扶養家族の場合だとそれが3割になってしまうのは覚悟のうえでした。扶養に入ると、国民健康保険やら任意継続のように、毎月定額を上納する必要なんてありませんから。

妻の職場の労務担当の女性に対してわたしは、先日退職したこと、妻の扶養に入りたい意志、持病があるので早めに保険証を発行して欲しいなどという旨を、伝えました。

「アイリーさん。社会保険事務所から何か郵便物が届いていませんでしたか?」

彼女は、そんな質問をわたしに投げてきました。

「ええ、確かに何か来ていますが、任意継続をする意志が無いもんで中身を見ていないんですよ」

「今すぐに開封して中身を確認してみてください。持病があるのでしたら・・・・」

封筒の中身は、H13.5〜バセドー病 と記述がある、白い保険証のような書類でした。

「これって、任意継続の人が対象になるものですよね??」
「いえいえ。任意継続と継続治療というのは意味は違いますし、まったく独立したシステムですよ♪」

そうか、そうだったんだ。つまり国民保険だろうが妻の扶養に入っていようが任意継続保険だろうが、バセドー病に限っては、この先5年の間は2割負担なんだ〜♪

ただし彼女がおっしゃることには、失業給付が開始されて満了するまでの期間については、わたしの場合ですと一時的にでも扶養から外れないとならないそうです。一日あたりの給付額が相当に低いかたの場合だと、そのまま扶養の状態でも良いらしいのですが、わたしはその対象からは外れているようです。残念ながらその間は国民健康保険に加入することにしようと思いました。

いやしかし、さすがはきっちりした大きな会社の労務サポートを担当なさっているかただけのことはあって、彼女の説明はその仕事に相応しく丁寧でわかりやすいものだったことに感謝しました。ついこの前まで所属していたところの、木で鼻をくくった系の労務スタッフがする説明とは、格段にレヴェルが違っていることがなんだか可笑しくて、すこし笑ってしまいました。

退職してから20日目が過ぎ去りました。

これでわたしは任意継続をする権利をとうとう失いました。ほんとうにこれで良かったのだろうかという葛藤もありましたが、いざその日を迎えてしまうと、案外と気持ちはすっきりしていました。

齢40を前にして、妻の扶養に入るなんて、おまえにはオトコのプライドが無いのか〜 というお叱りが囂々とやってきそうですが、プライドだけでは生きていけません。行使できる権利があるうちは、わたしは使いたいと思います。

どんなに素晴らしい権利も、どんなに優れた能力も、使わなければ無いのと同じです。

保険のほかに、今週はもう一つやっておかないといけないことがありました。

実はわたしには、セコい借金があります。金額にしてKAWASAKI 250TRが新車で乗り出せるくらいのセコさでしたが、退職金をそれにあてる予定にしていました。

いったいどういう意図でそうしたシステムにしているのか、わたし程度の脳みそではさっぱり理解に苦しんだのですが、退職金の30%は辞めた時点で支払われ、残りは翌月の20日頃に振り込まれることになっています、という説明を先月の終わり頃に受けました。その説明があったときにはなんとも思っていなかったのですが、その残りの70%は、みずほ銀行から振り込まれことになっていました。

あ・・・・!

もしかして・・・以下めんどくさいので省略。

わたしの心配やら二重振り込みの期待をよそに、さすがに20日頃ともなるとシステム障害のほうもすっかり復旧したのでしょう。残念ながら正確な振込明細書が郵送されてきました。そしてわたしはそのお金をATMで引き落としまして、某金融期間に行って、証文を取り返すという大切な用事を片づけることにしました。そして手持ちにある銀行系のローンカードをすべて真っ二つにして、ゴミ箱に捨てました。貸付金利が高利であることは、どこで借りたお金だとしてもみんな同じですもんね。

まあ、このあたりについてはどのように脚色してみたところで、あんまり愉快なお話にも、身のある話題にもなりそうにありませんが、これでセコい借金から完全にオサラバです(死語)。

貯金も無いけど借金も無い、ついでにやはり仕事も無いという状況に身を置くこととなりましたが、それはラクなんだかキツいんだか、自由なのか不自由なのかよくわからんなあ、と思いつつも妙な浮遊感を覚えるわたしなのでしたとさ。

続く

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