我 アートマンへの道

かの名著「W1 FILE」において、ダブワンについて ―特にW1Sまでの情報―は、かなりの詳細部分まで記述されている。

そのことはW1シリーズについて、これから知ってみたい方にとって、多くの知識と夢と勇気をもたらすだろう。版を重ね、現在でも店頭で購入できるようなので、ぜひ購入して欲しいものである。

しかし、この名著において、W1S-A・W3・W3-Aについては、あまり多岐には触れられていない。その本の副題は「MEGURO'60〜KAWASAKI'73 W1の技術文化史」となっていて、つまるところ、わたしが悪戦苦闘レストア中のW3-A('74製)に至っては、相手にさえされていないのか?!とさえ、思ってしまう。

「ダブワン欲しいんですが、どんなことに気をつけたらいいでしょうか?」という内容のご質問をいただくことが最近増えてきた。わたしごときでお役にたてるならば、ということで、ネタにすることにした。

しかしわたしは、W1S以前のダブワンについては、あまりよく知らない。知らないことは、話題にできない。よって、溺愛するW1S-A以降のダブルの話題に限ることにする。

ただ、「どんな部品をキープしておけばいいですか?」という疑問については、一切記述しないことにする。「あのパーツが、在庫僅少らしい」という情報を流した翌日に、流通から消滅した、などといった現象を起こしてはいけないのである。ダブワン界の巨匠や先達が、インターネットを利用しているとは到底思えないのだ。これについてはご自身で、いろいろな人間関係を築かれたうえでの情報網を作られることをお勧めする。

また、旧車屋さんの悪口も書かない。パーツ個人売買に関するトラブルも知っていても書かない。これについても、ご容赦願うものである。

これからダブワンを買おうとなさっていて、ノーマル重要至上主義の方の参考になればいいと思う程度なのである。


1966年 メグロカワサキK1の流れをくんだ大排気量車W1が発売された。らしい。 このあたりからW1S初〜後期に関することは、「W1ファイル」に詳しく載っていたり、川崎重工のサイトにあったりするので、一気に割愛。

よく知らないのである。 また、W1ファイルから転載したころで、わたしにとっても「本で得た知識」でしかないので、恥ずかしくて書けないのである。


それから、約4年が経過した。1970年にW1S-Aが登場。W1Sの「A」仕様なのである。 すごいのである。 かっちょいいのである。 それでは、何がどう変更されて「後期S」から「S-A」となったのかを書き連ねることにする。

  • フロントのブレーキドラムのパネル  右側 → 左側。雨天時にサイドスタンドにて駐車する際に、雨水の浸入を防ぐためだといわれている。 また、アルミ地肌色 → 黒ベタ塗りされた。また、エアスクープ(開閉式)が増設。
  • フロントフェンダー  ステン製 → 鉄にクロームメッキ。
  • ヘッドライト 大径化された。それでも、ぼんぼりのような暗さであるが。また、ケースに速度警告灯が追加
  • ヘッドライトステー 形状が変更。 メッキ → 黒べた塗り。
  • メーター 大型化された。 しかし、最悪の設計品質のものである。トリップカウンタギア(真鍮)が摩滅して、三万キロまでくらいしかまともに動かない。たしか350SSと共通部品。
  • スピードメーターギア 取り出し位置の変更 ミッションのカウンタシャフト → フロントハブ 
  • ミラー 形状が変更。
  • メインスイッチ  取付け位置 タンク下の左 → トップブリッジ に移動。
  • トップブリッジ  形状変更。
  • ウインカー  卵型の一体式 → ランプ&取り付けステー式に ともなって大径化。
  • グリップ 太めのヒダヒダ形状のものに変更。
  • 左側スイッチ類 変更。
  • Fブレーキ   ブレーキランプスイッチが追加。
  • フュエルタンク 形状および色 大幅に変更。 キャップ部形状変更。ニーグリップラバー廃止。
  • シート 表面材質変更  形状が若干変更。
  • リアフェンダーステー ウインカステー取り付けステーの追加。
  • テールランプ 超大型化。
  • レフレクタ(テールレンズ) 1個 → 2個。
  • リアサスペンション フルカバー → ハーフカバー化。 アッパー側はメッキ→黒ベタ。
  • チェーンケース メッキ → 黒ベタ
  • リアブレーキドラムパネル アルミ地肌色 → 黒ベタ。
  • ミッション   4ダウン → 1ダウン3アップ(W2M)  4アップ → 1ダウン3アップ(W2M) 
  • チェンジペダル 右ミッションケースからダイレクト → リンクを介し左側に。
  • ブレーキペダル 左 → 右。 ワイヤーでの取回しについては変更なし。

うう 結構あるなあ

  • クラッチカバー 表面に KAWASAKI文字が彫りこまれた。 チェンジペダルのシャフトが貫通式で追加
  • Y字カバー 表面のKAWASAKI文字 → Wマーク。  コンタクトブレーカ側に「逃げ(右スネがあたらない)」加工。
  • サイドカバー マーク(Wをあしらった貼り付け式)→ エンブレム(赤で「650」ボルトナット止め式)  そして、黒ベタ塗り。
  • オイルタンク エンブレム追加(赤で「650」ビス止め式)。 そして、黒ベタ塗り。
  • 点火方式 1ポイント式 → 2ポイント式。 より高速で安定(爆)するようになった。
  • エキパイ 曲げの形状が変更された。 また、二重管となった。
  • サイレンサ フレームに2点止め → 1点止め。 ただし、フレーム側のステーは残留。

変更点としては、こんなところだったろうか。劇的な変化としては、ミッションと点火方式である。タンクの色とかリンク式のペダル類も変更されたが、これは当時のマーケティングの産物なのであろうと勝手に推測するものである。

1972年、われらがW1S-Aにも、規制の波が押し寄せた、らしい。俗に言われる後期型への変遷である。

  • バルブシート 無鉛対策。
  • バルブガイド  内径 8mm → 7mm  実はW1S-Aになった時点で、すでに内径7mmだった・・・・・・・
  • シリンダーヘッド フィンの枚数 10枚 → 9枚
  • エキパイ  エンジンシリンダの前で、パイプによる連結。 トルクが増加したという説もある。
  • フュエルタップ 構造変更 左右の方向が統一された。
  • サイレンサ 容量が増加。後方に細くなる形状に変更。 俗に大根マフラー。
  • リアウインカステー 形状が変更。 ウインカ位置が少し上になった。
  • エキパイフランジ メッキ → 黒塗り

もうこのころになると Z1あるいはZ2量産寸前の時期だった。らしい。そのため、Z2の国内販売までのツナギというマーケティングにより、1973年 W3が登場する。ここでの変遷は、川崎重工の設計陣をして「婆ァの厚化粧」と言わせしめた。らしい。

  • 車名 ダブルワン スペシャル → 650RS/RoadSter
  • フレーム 電装類とハンドルロックの変更に伴い W1F*** → W3F***。 また、マフラー取り付けステーの穴が 2個 → 1個 になった。
  • ハンドルロック 大幅に変更された。 わたし自身の盗難予防対策もあるので、あえて書かない。
  • フロントフォーク アウタースプリング式 → インナー式 ロワーケースはZ1などと共通化され、左右にオレンジのレフレクタ(橙)が新設された。
  • フロントブレーキ ワイヤー/ツー リーディングドラム式 → 油圧ディスク(ダブル)式 
  • フロントハブ・ディスクロータ ディスク化に伴い、Z系と共通化 (キャリパはZ2Dと同じものらしい)
  • フロントフェンダーステー ディスク化に伴い形状変更。
  • ヘッドライト ポジション球が新規追加。
  • ヘッドライトステー Z系とよく似た形状となった。黒ベタ → クロームメッキ
  • フロントウインカステー Z系と共通部品。ウインカ形状は変更なし。
  • フォークブーツ W3専用設計のものが、インナースプリング型式にわざわざ付けられた。
  • スピードメーター Z系と外観は同じ砲弾型になった。 これが重い・・・・
  • インジケータパネル メインスイッチ部に新設された。
  • ヘッドライトインジケータ タコメーター内に新規追加
  • ブレーキインジケータ  タコメーター内に新規追加
  • チャージインジケータ パネル内に新規追加
  • ハイビームインジケータ パネル内に新規追加
  • 右スイッチ キルスイッチ 追加
  • 左スイッチ パッシングスイッチ追加 および形状変更 アルミ地肌色 → 黒ベタ
  • ハザードスイッチ 新規追加
  • ミラー 取り付け方式および形状変更
  • チョークレバー 取り付け方式および形状変更。 耕運機と間違えられなくなった。
  • フュエルタンク キャップ部形状変更 鍵が新設。 塗り分けパターン変更。エンブレム色 黒抜き → 白抜き。下側の名前はわからないけど、ボルトを引っ掛けるフック廃止。フュエルタップ形状変更。
  • シート タックロール&スプリング方式 → スポンジ式。大型化
  • キャブレター ティクラーが廃止される。 またチョークの形式が変更となる。
  • サイドカバー 「650 RoadSter」にエンブレム変更。 タンクのベースカラーと同色塗装。
  • オイルタンク 「650 RoadSter」にエンブレム変更。 タンクのベースカラーと同色塗装。
  • IGコイル 取り付け位置変更 
  • リアフェンダー フレーム形状変更(電装部品格納のためか?)に伴ったもの。
  • リアフェンダーステー 大型化される。 また、W1S式ウインカの取り付け穴が廃止。
  • リアウインカステー フロントウインカステーと同一部品となる。
  • テールランプステー 黒ベタ → クロームメッキ
  • テールレンズ レフレクタ位置変更 また 2個 → 1個
  • リアサスペンション アッパーカバーがZ系と共通の樹脂製になる。 ともなってレフレクタ(橙)が新設。
  • チェーンケース 再び 黒ベタ → メッキ
  • タンデムステップ 形状変更 太くなった。 また、ステップラバーも大きくなった。

そして 1974年式 W1Eを搭載した最後のオートバイ 「W3-A」となっていく。単なるイヤーチェンジとなのかも知れない。あまり戦略がみえる変更というものではない。か?

  • スロットルストップスクリュー 廃止
  • ヘッドライト切り替えスイッチ 材質・色 変更
  • チョークレバー 表示変更。およびロックナット追加。
  • ステアリングダンパーノブ 廃止 (初期生産には付いていたという説あり。真偽は定かではない)
  • インジケータパネル レイアウト変更
  • フュエルタンク 塗り分けパターン変更。 伴って、オイルタンクとサイドカバーの色も変更。
  • クラッチカバー  シフトパターンを表記した彫り込みが追加
  • ミッションケース  「KICK STARTER」シール追加
  • リアブレーキパネル 半月?状の浮き彫り追加。その中にブレーキレベルシール追加。 レベルインジケータも追加。
  • リアサスペンションのレフレクタ 色変更。 橙 → 赤

このほかにも、あとでメーカーから部品を取り寄せたら、色が変更になっていたり、形状が変わっていたというものもある。また、目には見えない素材変更(アルミの質など)とか、工作技術の向上による部品精度アップをしたパーツもあったりする。

ともかく、30年前に生産が完了したオートバイなのである。

まったくノーマルでない部品が装着されているのに「フルノーマル」ということで販売されている中古車もかなり見かける。「この部品がついている仕様もあった!」と言いきる業者さんや元オーナーも多いと聞く。しかし、大量生産車である「W1S-A」以降については、パーツリストという形で「仕様書」がメーカーから出ていることもあって、そんなウソから身を守ることができると思う。

ノーマル仕様からわざと逸脱させている「わたしのW3改」に対する免罪符として、フルオリジナルにこだわった中古車選びの参考になればということで、オリジナル仕様に関して知っていることを書きだしてみた。

おそらく、このコーナー当面は画像なしの状態であると思う。あえて置かないでいようという気持ちもあるのだ。まずは、蔦森さんの「W1ファイル」を手元に置かれることを、またお奨めする、そして、ご自身でご確認いただきたいのである。

しかしながら、今後において時間があれば、画像を追加していきたいとは計画している。その際には、いろんな方の了承の上で、それぞれのダブルの詳細仕様を追いかけてみたい。「W1 FILE」や別冊MC誌 そして川崎重工ウエブサイトなどからの画像転載は避けたいのである。


■参考文献■

  • W1 FILE /蔦森 樹さん 著
  • 保毛田岩の由来 /清水義範さん 著
  • パーツリスト /W1クレージーズ 刊
  • パーツカタログ W1S-A , 650RS:W3 / 川崎重工 刊 

■協力■

  • インターネットダブワン塾(爆)
  • せとうちW1倶楽部
  • その他、これまでに知り合ったダブワン乗りのみなさま

ちなみに、K1からW1Sの変遷については、特にエンジン関係の仕様変更がものすごく多かった・・・らしい。

よって、S以前のネタは、わたしには十分説明できないことになるけど、これは内緒にしておこうと思う。

よかった〜。SAで(爆)

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進行性W病 www.w1-3.com 1999-2008
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